ゴッサムとノイマン
ゴッサムは、ただのケーブルメーカーではありません。
創業者のTemmer氏は元々は録音技師です。
ゴッサム社については、大手の録音やプレス、放送等に関わっていた方には昔からある、著名なケーブルであり企業ですが
最近までコンシューマーオーディオや自宅録音の方には、ほとんど知られていません。
というのは一般オーディオ用途には、ほとんど紹介されておらず、かなりマニアックな人達だけが存在を知っていたケーブルだからです。
ゴッサムの歴史についてはこちらでも正確な事が分かる様になっています。
ゴッサム社は1958年、名器と言われるマイクが多いNeumann(ノイマン)の代理店になります。
そしてノイマンのマイク、カッティングマシーン(レコード製作機材)を広めていくのですが、これらの機材のよさを分かってもらう為に、
ベストな性能を発揮できるケーブルとしてゴッサムのケーブルをプロの間に紹介していきます。
日本でも数十年前ノイマンのカッティングマシーンで仕事をしていてゴッサムケーブルの信頼性は
昔からよく知っているという技術者のメールも頂いた事があります。
録音機材として一流のSTUDERの代理店でもありました。EMTとも深い関係があります。
A730のピックアップが無くて修理が出来ないなんて時に、
ゴッサムに問い合わせると「それなら倉庫にある」という事が近年でもあったと聞いています。
本業は一流のプロ機材の代理店で、ケーブルについては一流の機材の性能をベストな状態にする為に、一流の物が必要なものだったのでしょう。
STUDER,Neumann、EMTの機材は世界中で録音、プレスに使われ、多くの場合ゴッサムのケーブルが使われていました。
その他にはK&H, Beyer, Stellavox,Lexicon, UREI, Valley Audio, MRL, Switchcraft等の多くの録音機材メーカーの代理店となっています。
録音機材で一流と呼ばれているものは、ほとんどGotham社が関わっていたとも言えます。
どんな音楽にもくせが無く合う感じがするのは、この辺りにも理由があるのかもしれません。
1972年6月のBillboard誌でレコーディング機材の特集を組んでいます。
Gotham Audioが当時何を売っていたのか、第三者の記事ですので説得力も強いと思います。
Billboard誌だけに限ってもGothamの露出は1959年までさかのぼります。
創業者のTemmer氏が、当時最先端だったヨーロッパでのステレオ録音技術についての講演を行う、といった記事が掲載されています。
代理店業、録音技術、ケーブルと全てに関わってきたトータル企業という訳です。
FMラジオ放送が始まり、AMの狭帯域モノラル放送から、広帯域のステレオ放送に変わっていく時代の、
最先端を走っていたGothamの歴史といったところでしょうか。
Neumann(ノイマン)とGEFELL(ゲッフェル)
Neumann社は1991年にゼンハイザーの子会社になっていて新しい設計・技術の製品になりました。
録音技術も必要だがピンポイントなフォーカスの昔ながらのノイマンのマイクを求めるとなると昔のビンデージマイクしか無いのでしょうか。
大戦前ノイマンとゲッフェル(旧東ドイツ)は同じメーカーでした。
ノイマン(西側)は時代が進み新しい技術と設計で大きく変わっていきます。
ビンデージNeumann社の従来のマイクロフォンは、アナログテープで収録した際にフラットになるようチューニングされていたようです。
現在はデジタル録音が主流となり、入出力がトランスペアレントですので、
ビンデージNeumannのチューニングでは誇張されたキツめの音になりがちです。
ゲッフェルの方は幸か不幸か昔ながらのNeumann伝統のM7カプセルを軸とした開発と大きく進化しない物造りをしました。
とはいえGefellのマイクロフォンはビンデージNeumannと同じ設計でありながらデジタル録音に合ったチューニングがされています。
そのことから、「アナログ+Neumann」 ≒ 「デジタル+Gefell」と評される事も多いのです。
ピンポイントなフォーカスが欲しいメインマイクとして大変有用でトッププロのエンジニアから人気があります。
これらのマイクも多くのスタジオでゴッサムのケーブルが使われています。
これらのマイクやマイクプリについても、使い方をご相談頂ければベストなものを紹介させて頂きます。
スタジオとホールやアンビエント的な録音ではマイクに求められる指向性が大きく違います。
またサウンドはマイクだけで作られる物ではなく、マイクプリやコンプレッサーも重要な要素になります。
オーディオの場合はケーブルについては信頼あるゴッサムをスタンダードと考え、自然な音に感じないのであれば機材や電源など
他の部分を疑って頂くのが自然で、どこに基準をおけば良いのかの指標になると思います。