ゴッサムのケーブルはスイス製だからスイスの録音にしか合わないのですか?
お客様からゴッサムのケーブルはスイス製だからスイスの録音にしか合わないのですか?と質問をうけました。
そんな事はありえません。
音を聴いてもらえば逆に疑問が沸いてくると思います。
何故ジャズやクラシック、ロック、ポップス、邦楽までもがゴッサムで聴くのが最も自然に聴こえる時が多いのか。
ケーブルや背景について正確な事実を説明してコンシューマーの方にも知ってもらおうと思います。
元々はゴッサムを扱いはじめる時に試聴用ケーブルも考えましたが、
世界中で使われているケーブルの為に生産工場も世界中にあり、
生産量も多く、高額なケーブルでもありませんので必要が無いと考え止めました。
また昔からエンジニアやコアなオーディオファンにはブランド名も有名なケーブルですので多くの人に試してもらえる、
ゴッサムについては特別に多くを語る必要が無いと当店は考えていました。
まずゴッサムの歴史はアメリカのニューヨークから始まって創業から50年以上経過している事は、
ゴッサムの英文サイトのヒストリーを見れば誰にでも分かる様な事実ですし、スイスが本社になったのは近年です。
ちなみにGothamとは、「New York City」の別名です。
またレコーディングやマスタリングエンジニア、ミュージシャン等がよく使い音質に定評のあるプロ用ケーブルで
世界的にも有名なメーカーを比較すると
ゴッサム 徹底した音質第一主義の非メッキ線と、音質追求に計算された芯線・二巻きシールドの太さと量、
被覆の質でワイドレンジな帯域をカバー。
ケーブルによる色付けを少しでも付けたくない室内レコーディング、ホールでの録音やマスタリングモニター向き
ベルデン 第一にヘビーデューティー仕様、頑丈な被覆と絶縁体、錆びや湿気で劣化し難いメッキ芯線、
断線する事はまず考えられない網掛けシールド、8412等は湿気を吸う繊維入り。ライブ録音や野外使用、野外PAに最適・雨天にも強い。
モガミ ゴッサムの音質と耐久性、製作のし易さまで追ったマルチなケーブル。
芯線やシールドの設計は非メッキでゴッサムに似た造りだと感じます。
被覆の丈夫さ、シールドは1重で1本1本の導体を太くする事や芯線以外の素材も使い丈夫です。
モガミは音的には設計自体がゴッサムと似ていて、似た傾向です。丈夫さもベルデン程では無いですが、ある程度は丈夫です。
こういった中間的ポジションのスタンスが受けライブでもレコーディングでもといった感じでアメリカでも人気。
これらの特性を考えると空調のきいた室内でのレコーディング、マスタリングで使うのでしたら、
音さえ自然で色付けの無い良質な音であれば良い訳ですから別に丈夫な必要もなくゴッサムが適しているという事で、
世界中の多くのエンジニアが選択しているものです。
もちろん、ハードな使用状況は無く音質向上が最も重要になる趣味のオーディオ再生にも適しているケーブルだと言えます。
またマスタリングエンジニアにも世界中でよく使われている事も、録音・マスタリング・再生のケーブルが合うことが、
再生時の自然な感じに繋がる要因だと思われます。
当店もライブや野外専門で使うケーブルにはゴッサムのヘビーデューティータイプかベルデンを薦めますし、
室内でのレコーディングやオーディオにはゴッサム、両方に使いまわししたいとか多くのケーブルを使用するので
1本当たりのコストを下げたいという時にはモガミをお勧めします。
これらの事は特に当店の主張と言う訳でも無く、大手スタジオ関係、エンジニアの間では、
誰でも知っている様な基本中の基本で常識となっている事項です。
自作を行う方でしたらケーブルの被覆を剥いだ時に肌で感じている事もあると思います。
今では円高で国産と大した差が無い安いケーブルと思われるでしょうが、昔1ドルが200円以上していた時代には、
海外のケーブルやコネクター、機材等も国産と較べると日本では高価でした。
そういった事も一般には浸透し難い背景にあったのかもしれません。
日本では一般コンシューマーのオーディオフォンにはベルデンやモガミが先に有名になったので
ゴッサムはあとから出来た新興企業に思われる事もありますが、そうでは無く歴史のあるケーブルです。
ノイマンのケーブルはNeumannとGothamのコラボレーション
によって開発され、当初はGothamが製造していました。
現行マイクケーブルであるKシリーズもGothamのGAC-3と比較しても構造は被覆・芯線の太さも全く同じ、
異なるのは芯線数だけで、0.05mm程度の芯線が96本と102本で6本違うだけです。
ゴッサムはノイマンのケーブルを製造しているとはメーカーですから公言できないでしょうが、
私が見ても被覆のロゴを見ないとどっちがどっちか分かりませんし、音を聴いても違いを感じる事が難しいです。
眼の前で繋ぎかえ何度か試験して、やっと僅かな違いを感じる程度で通常のリスニングで分かる違いでは無いと思います。
現在のノイマンのケーブルは別のメーカーが作っていて、ゴッサムと作りは似ていますが違うものです。
スタジオではゴッサムのマイクケーブルが多く使われています。
そもそも昔はノイマン製のマイクケーブルは無く本国向けには「Sommer」
北米向けには「Dorfler Kabelwerk」「Gotham」でした。
ノイマンやゴッサムのGAC-3はノイマン以外にもマイク用ケーブルとして、ベストのケーブルです。
音源からオーディオ機材接続用として利用する時はGAC-4/1、GAC-2111、GAC-1の方を一般的にはお勧めします。
録音機材やハイグレードなオーディオ機材の接続にはGAC-2PURをお勧めします。
歴史的には比較的新しいデジタルケーブルについてGothamは初期の企画段階から関わっている企業で、
アナログケーブルのみではなく、デジタルケーブルも非常に高品質、もちろんプロの現場で使われています。
海外のケーブル工場ではベルデンとゴッサムの両方を生産している工場もあります。
海外出張の多いお客様に言われた事がありますが、
「仕事で10年以上前にイギリスのBBCにいった事がある。その時にCDプレイヤーはSTUDERのA730で配線は全てゴッサムで素晴らしい音だったのでゴッサムのケーブルを探していた。探しても中々見つける事が出来なかった。GAC-2111で当時理想だと思った音をようやく家で聴くことができた。」と当店を見つけて喜びのお電話を頂いた事があります。
BBCだけでは無く、日本も含め世界中の多くの著名なスタジオで昔から実際に使われている事も、
プロのエンジニアやマニアックなオーディオファンには周知の事実なのです。