最高のパワーアンプ
お客様に最高のパワーアンプは何ですか? と聞かれる時があります。
そんな物は絶対に存在しません。とお答えしています。
というのは最高のアンプというのは使用するスピーカーにより全く違うからです。
スピーカーにぴたりと合うアンプを探す作業は、色々な特性を持ったアンプを所有し精度の高い計測器を使いこなし
確かな耳を持っているレベルの高い本物のプロでも多くのアンプを繋ぎ代えマッチングを探す大変時間が掛かる作業です。
アンプの所で紹介しているアムクロンのPSA-2等はスタジオにもよくあるアンプです。
D150にニアフィールドスピーカーの組み合わせも、よくある組み合わせです。
モニター用にSTUDER,Mark Levinson,McIntosh,KRELL等のパワーアンプも置いてあるスタジオがあります。
大きな駆動力のアンプは最近の耐入力の大きな重いウーハーを動かすには非常に良いアンプでバランスの良い音が聴けます。
しかしPSA-2が良いからといって、真空管の時代のスピーカーに繋げれば振動系の軽いウーハーに制動が利きすぎて
低音が出なくなり硬く感じるつまらない音になりやすいです。
そういった状況になった場合、人によりスピーカーが悪いとかアンプが悪いとか判断してしまいますが、
そうではなくて組み合わせが悪いのです。
よく言われる例えですが軽自動車にV8エンジンでは合わないのです。
そこが分かっていれば色々と調整も出来ます。
例えばソースにより低音が膨らみ過ぎるスピーカーに繋げたアンプを制動が強めに働くものに代えてすっきりさせたりする方法だったり、
もう少し低音が欲しいと思う時に少し出力が低いものやダンピングが弱いアンプに代えたりということもできます。
例外はあるにしろスピーカーとアンプは同じ時代のものが合いやすく、また何を繋げる事を考えて作っているのかを考えると考えやすいと思います。
アンプの搭載しているトランスの大きさ、出力、ダンピングファクター等の要素は出音に大きな影響がありますので出力だけみても、
ダンピングファクターだけみても駄目です。
昔のMark Levinsonのアンプではダンピングファクターがスイッチで切り替えれる様になっていて
スピーカーとのマッチングを変化させ調整できるものまであります。
例えば同じMcIntoshというメーカーのアンプでも型により出力や性能が違います。
型番がちょっと違えば全く別のアンプだと考えるのが普通です。
つまり1つのアンプを試して良くなかったからMcIntoshは駄目だというのは可笑しな話としか良い様がないのです。
実際に現在のスタジオでも古いMC2300が入っているところは見かけます。
話を聞くと入れ替えでMC2500を繋げたが音が硬くなり過ぎて合わないのでMC2300を使っている。
新しめのモニタースピーカーでは2500や2600の方がピタリとくる場合もあると聞きました。
全く使わなくなった機材は処分するが、それがオーディオ屋さんに渡ると、凄く高額になっているので驚いたと笑っていました。
自分のスピーカーにマッチするアンプを探す時には、この辺りの事が分かっていれば失敗も少ないかと思います。
特に古い年代のスピーカーにマッチするアンプを探すのは難しい事になります。
大きなオーディオ店で手持ちのスピーカーと同じ様なスピーカーに、
色々なアンプを納得するまで繋ぎ代えて試聴すればある程度の目安はできます。
細かい所までというと、オーディオ店の環境と自分の家は違うのですから、それも考慮すると大変に難しい問題ではあります。
本来スピーカーとそれに一番合うアンプはセットで販売されているべきかもしれませんし、
そうでなくてもせめてどんな組み合わせで開発されたのか知る事が出来ればと思います。
趣味のオーディオでは楽しめれば良い訳ですから、ある程度の妥協はできます。
マスタリングを行う様なモニターでは位相・定位・レンジの広さ・モニターし易さと完璧なものでなければいけない為、
リファレンス用に複数の機材を持っていて組み合わせて試験したりするのは普通の事です。
常に高性能な測定器で感覚と照らし合わせているのでちょっと聴いただけで何hzの音がとか位相のわずかな違いまで分かってしまう方もいます。
ただそういった方はほんの一部の人です。
スタジオでも調整が出来ず何かあれば、レベルの高い技術者に相談したり調整に来てもらう事になります。
ーモニターのセッティングー
モニタースピーカーをJBLの古いものからJBLの新しいものに変更した。
これまでの古いJBLのモニタースピーカーに繋げて一番良かったアウトプットトランスの付いたMcIntoshのアンプでは
低域がもやついてボケてしまい全く合わない。それではと今度はSTUDERのアンプを繋げてみても幾分良くなるがまだ柔らか過ぎる音でおかしい。アムクロンのD150でかなり
落ち着いたが、何かおかしいのでバスレフの穴を塞いでみたりという感じで中々セッティングは終わらず
求めるレベルが高すぎるからか完璧な状態を作るには根つめても2-3日では終わらないということです。
そういった事が大変な事と、求めるレベルが高いからでしょうか。
ここ10年ぐらい前からスタジオではドイツのmusik electronicのモニターが流行り置いてあるスタジオが非常に多く、
多くのミュージシャンも使っています。
同軸のユニットでアンプ内蔵、アンプとスピーカーの組み合わせも悩みません。メーカーが既にセッティング済みです。
位相の問題も無く同軸という事で定位も良くて帯域も広いと完璧に近いバランスと言えます。
更に大きなものでも小さなものでも、また音量を絞っても音自体の聴こえ方に差が無く大きなものは低域が伸びてくるだけなので
違和感が無くどのサイズのものでも正確なモニターが可能。
小さな箱の906でも箱が一回り以上大きな他のスピーカーと同じぐらい音が出るという事で人気のものです。
当店ではこのmusikelectronic(ムジーク)のモニタースピーカーを取り扱いをはじめました。
モデルが沢山ありますが、100Hz以上は同じ聴こえ方をする事、サイズ、価格等を考慮すると906ぐらいがベストチョイスになると思います。
プロの道具という事で値段は高めですが、アンプとプロのセッティングがセットなっていて後はスピーカーの
置き方と部屋の反響を少なくする事を考えれば良いぐらいと考えると、ある意味そうでもないのかもしれません。
受注生産状態なのである程度の納期は掛かってしまいます。
現在のデジタル再生を考えるとDACとしてCRANE SONG Avocet、モニタースピーカーとアンプとしてmusikのモニター、
後は音源になるCDプレイヤーかPCで正確なモニター機材は完結できます。
スタジオには重いドア、機材がありますのでケーブルはくせの無いフラットな音と頑丈な造りのGAC-2 PURをお勧めします。
スタジオでの流行というのは結構変わります。
しかし音楽ソースの帯域が現在の規格以上のものに、すぐにはなりそうも無い事を考えると、
このmusikelectronicのモニターは長く使われる様な気がしています。