パワーアンプ
お客様からの質問が多いパワーアンプについて分かりやすくまとめてみました。
現在使用しているのがプロ用の薄型アンプだが、これ以上の音を望めないのか、
良いアンプがあれば機種を教えて欲しいという内容が多くあります。
確かに色々なメーカーのプロ用薄型アンプは性能も高く安価で音も妙な個性は少なく基本的にはフラットです。
しかしメーカーの説明にもあるとおり、小口径ウーハーのニアフィールドスピーカーやヘッドフォンアンプとしての使用用途としては良いのですが
38cmウーハーなどの大型ウーハーのスピーカーを駆動するにはいささか駆動力不足です。
クロスオーバーを使用してバイアンプにしてユニット毎にアンプの出力を割り振っても幾分良くなるだけで根本は解決できません。
駆動力というのは出力W数やダンピングファクターでは無くアンプに内蔵されている電源部分が大きく影響します。
1、ダンピングファクターがウーハーの駆動力なのか?駆動力ではなく制動力です。
ダンピングファクターが低くても高いダンピングファクターのアンプよりウーハーの駆動力がありスピーカーの存在を感じさせないアンプはありますし
ダンピングファクターが高くても何だかもっさりとした音だと感じるアンプもあります。
2、出力W数が小さいほど良いアンプか?重たいアンプは駄目なのか?
良い電源を搭載しているアンプは出力W数が大きなアンプが多いです。 ただ出力W数ではアンプの良し悪しは分かりません。
またトランス電源のアンプの場合、重量の多くはトランス部分の重量ですので重たいアンプに良いものが多いです。
もちろんはずれも沢山あります。出力が大きすぎても駄目です。
理想は出力W数が小さくても重たいアンプに負けないぐらい電源部分がしっかりしているアンプになります。
しかし電源トランスやコンデンサに大きく良質なものを搭載するとどうしても重量は重くなります。
大型のアンプでも回路基盤は薄型アンプとそれほど重量差は無く、電源トランスとコンデンサの重量差が大きいです。
自作の真空管アンプやトランジスタアンプ、デジタルアンプにもその様な強力な電源トランスを搭載した良質な物があるので面白い所です。
自作のアンプについては特殊性が大きいので省略します。
38cmウーハーの大型スピーカーを使用している場合にも駆動力不足を感じない中古で比較的安価なプロ用機種を幾つか挙げます。
アムクロン(クラウン) D-150,DC-300,PSA-2,macro tech 600,1200シリーズ等
これでも小型のアンプよりは全然いいですがアムクロンは駆動力もあり制動も高いので、
軽めのウーハーで低域が出にくい多くのJBLの38cmやALTEC604、515等にはマッチングがよくないアンプです。
もう少しゆったりと柔らかな低域を出してくるのがSTUDERで、
更に柔らかい音を出してくれるのがマッキントッシュの70-80年代ぐらいのものやUREIのパワーアンプ等です。
38cm2ウエイのPAスピーカーは軽めのウーハーで低域は出ずらいものが多いので、
お勧めとしては70-150W程度でダンピングファクターが200程度のアンプがマッチングが良いです。
UREI6230や6260は中古でも安いですし2Uサイズですがファンも無く使い易いです。
マッキントッシュはアウトプットトランスの為か大出力でも柔らかめの低域のアンプも多いです。
難しいのは同じメーカーでも型番違いでかなり出音が違うところです。
真空管時代のもので38cmに合わせるとなるとMC240をブリッジ接続で2台使うなんてマニアックな方法もあるのですが、
今は高くなってしまったのと古くて2台全く同じ音を出すものを探すのも無理だと思います。
バランス的に元気にウーハーを動かしてしっかり制動した方があうスピーカーであるJBL 4425なんかにはアムクロンD150といった感じです。
中々難しいのは内蔵トランスが小さく出力が小さいとウーハーが動かない、だからと大出力でも動き過ぎてパシパシし過ぎてやはり低域は出ない。
ちょうど良いマッチングのアンプが必要です。
音については好みも大きな所ですが、これらのアンプの音を聴かれてやはり小出力の薄型アンプが良いという人は少ないと思います。
共通点はスイッチング電源では無くトランス電源で大きなトランスを搭載している所です。
どれが良いのかは好みや聴くジャンルにより微妙な違いが出てくる所です。
一般のオーディオ用で古い物に良い電源を搭載したアンプを見つける事が出来る場合もあります。
それらも素晴らしい出音です。とにかくスピーカーから飛び出して来るような音となるとアムクロンを指名買いとなりますが
良いもの同士でどれが良いのかは聴くジャンルや好みがありますので最高のアンプというのは使用スピーカーにより違います。
ただ、音離れが良くフラットな音のプロ用アンプが好きな人は多いと思います。
これらの安価で良質な電源のボリュームがあるパワーアンプに音源より直接接続すれば色付けが無い基本となる音が聴けます。
それを基本にして自分の好みに合うパワーアンプを探求していくと、最高の物に出会えるかもしれません。